大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(う)1642号 判決

被告人 菅原正彦 外四名

〔抄 録〕

ところで、原判決は、被告人寅野らを刑法二五条ノ二第一項前段の裁量的保護観察に付した理由として、「同被告人らの現在の心境では、必ずしも保護観察に親しむとも予測されないが、少くとも、単純な執行猶予よりは自重をもたらし再犯を抑制する効果があると思料し」とし、一、大学の内外を問わず、法律、規制を遵守すること、一、暴力的行為を慎しみ、特に大学における研究、授業の妨害となる行動に参加しないこと、とする特別説示事項を定めているのである。しかし、保護観察の目的が再犯防止にあることは明らかであるとしても、その制度の本質が、犯人の更生と社会復帰を助長促進する建設的、個別的処遇方法にあること並びに本件犯行の動機が原判示学内問題に原因を有し、本件後、本件の直接的原因であった学生処分の件も、大学当局により復学等処分解除の措置がとられ、学内も一応平静化の傾向が窮えるうえ、右被告人らは、いずれも東北大学の在学生であって、現在、被告人菅原以外は、紛争の生じた教養部過程を終了し専門過程に進級しているので、その教育生活、環境、学年、心身の状況及び近い将来における社会生活等に照らすと、事案の性格からも、また、被告人らの資質、環境、展望からも、保護観察を付すべき必要性に乏しく、むしろそれを付することにより、被告人らにその生活行動を制約する過重な義務を負担させることとなって、不当な感を免れない。ことに、原判決の前記説示の趣旨からして、制度本来の対象者として、被告人らにその適格性がないことを是認しつつ、保護観察を付したものとすれば、刑罰ないし懲戒処分でない本制度を、刑罰等の威嚇ないし警告にこれを結合し、一般予防的効果を期待しようとするもので、制度本来の趣旨にそぐわず、被告人らに不当な負担を課するものとして相当でない。

そうすると、被告人内田に対する論旨は理由がないが、その余の被告人に対する原判決の量刑は、前記保護観察を付した点において過重に失し破棄を免れない。論旨は右限度において理由がある。

(草野 高山 油田)

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